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加熱式タバコが日本で流行している理由

電子タバコ関連について

日本では加熱式タバコを吸う人たちが増えています。IQOS(アイコス)、glo(グロー)などのブランドがその加熱式タバコの代表格です。中でもIQOSは、一時期は加熱式タバコ市場を独占するかのような勢いでした。このようにとてもにぎわいをみせている加熱式タバコ市場ですが、実はここまで盛り上がっているのは日本だけなのです。なぜなのでしょうか?

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加熱式タバコが普及しているのは日本だけ?

加熱式タバコが普及しているのは日本だけ

加熱式タバコはすでに多くの国で販売されていますが、実はここまで市場が盛り上がっているのは日本だけです。そして興味深いのは、この市場において大きなシェアを確保しているのは海外メーカーだということ。日本は現在、海外のタバコ製造業者にとって、たいへんチャンスの大きい市場になっています。しかし、それにしてもなぜ日本なのでしょうか?

欧米では元々、電子タバコの人気が高いという事情があります。電子タバコは加熱式タバコとはまったくの別物で、主にフレーバーのついたリキッドを加熱してその蒸気を味わうことを目的としています。数多くのフレーバーが楽しめることが特徴で、フルーツやメンソール系のものからタバコ風味のものまでそろっています。タバコの葉は使っていないものの、ニコチン入りのリキッドが主流でありかなりの数の愛好者がいます。逆にニコチン無しのリキッドはそれほど流通していません

一方の加熱式タバコは、海外では健康への影響が指摘され許可が下りず、日本ほどの大きな市場はまだありません。IQOSが、その母国・アメリカで発売されたのは、なんと2019年のことです。日本で初めて販売されたのが2014年ですから、約5年後の発売ということになります。

ただ、このような状況を見ると、加熱式タバコの市場は、まだまだ世界的に発展する余地を残しているともいえます。まだ世界的に成熟した市場がないため、世界のタバコメーカーは、日本市場を世界への足がかりにしたいと考えているようです。喫煙者の多い日本では、紙巻きタバコから加熱式タバコや電子タバコに乗り換える人々が数多くいます。まさに日本は、タバコメーカーにとっては世界市場を見据えたテスト市場となっているのです。

現在、日本の加熱式タバコ市場では「フィリップ・モリス・インターナショナル」「ブリティッシュ・アメリカン・タバコ」「インペリアル・タバコ」の海外勢に加え、日本の「JT」がしのぎを削っています。「インペリアル・タバコ」は2019年にPULZE(パルズ)とともに上陸した新参入のメーカーです。日本は現在、世界で唯一、加熱式タバコが盛り上がっている市場ですが、これからは世界各国の市場も活発化していく可能性があります。

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加熱式タバコはなぜ日本で大人気なのか

加熱式タバコはなぜ日本で大人気なのか

ここからは、加熱式タバコが日本で人気を得た理由について解説していきます。

タバコ事業法と新しい税制

加熱式タバコが日本で初めて全国販売されたのは2016年のことです。当時の日本のたばこ事業法では、加熱式タバコは異質な存在であり、この法律を管轄する財務省も「売れないだろう」というスタンスだったため、状況を静観していました。しかし、この加熱式タバコ(IQOS)は、財務省の予想に反して好調な販売を記録し、これを見た財務省は税制を整え、加熱式タバコから安定した税収を得られるようにしました。

日本には、IQOSの参入前から加熱式タバコが販売されていたのですが、これがまったく売れなかったことで、財務省は発売当初から売れないと考えていたようです。しかし、この財務省の変わり身の素早さが、IQOS以降の加熱式タバコに、日本市場に浸透するチャンスを与えたことは間違いないでしょう。

JTの影響力

日本のタバコメーカー「JT」の影響力が絶大だったことも、加熱式タバコの日本での市民権獲得に貢献しています。タバコ事業法を管轄する財務省とJTの間には太いパイプがありました。財務省はJTの株主であり、JTは財務省の役人の天下り先でもありました。このような財務省とJTの関係も他の省庁と同様に日本の経済構造の一つであり、新しいタイプのタバコである加熱式タバコの浸透に関わっているといえるでしょう。

JTの影響力はメディアにも及んでいます。JTは、莫大な費用を、テレビをはじめとするメディアに積極的に投入しています。これによりJTは、タバコに関する否定的な情報が広まることを抑制しているのです。JTのメディア戦略も、間接的に加熱式タバコが日本に浸透する手助けになったと考えていいでしょう。

IQOSのテレビ番組を使った広告戦略

世界の多くの国々では、タバコの広告や宣伝が法律により禁じられていますが、実は日本ではそのような規制は存在しません。日本でもタバコの広告や宣伝を見かけることはあまりありませんが、それはメーカーなどが自主的に規制を行っているからです。

しかし、IQOSはテレビ番組そのものを使い、その商品イメージを拡散しました。このテレビ番組は、芸人が多数出演するもので、その回は「最新!芸人タバコ事情」というタイトルがつけられていました。

タバコに関する、というよりは「芸人たちがIQOSに出会ったことやIQOSを吸うようになった理由を紹介する」ような番組の構成だったのです。時はIQOSが全国販売を始めた直後。この番組の放送直後は、IQOSというワードの検索数が劇的に増えたといわれています。この番組はIQOS(フィリップ・モリス・インターナショナル)側からの金銭を含む働きかけについては否定していますが、これはおそらく、フィリップ・モリス・インターナショナルによる、既存メディアとマルチメディアを利用した広告戦略だったのではないでしょうか。

IQOSは、このようにマーケティング戦略に長けていましたが、それはテレビやインターネットのみならず、パッケージやブランディングにおいても優秀でした。若い世代をターゲットにするIQOSは、特に若者に人気だったデジタルガジェットのようなイメージをIQOSに与えました。発売当時のIQOSには、「iPhone」を意識したような「iQOS」という表記が使われており、このイメージ戦略が当たったこともIQOS(加熱式タバコ)が市場に受け入れられた理由のひとつだと考えられます。

日本で発売中の加熱式タバコを比較

ここからは、日本で販売されている加熱式タバコを比較していきます。加熱式タバコは、電子タバコとは異なり、本物のタバコの成分を摂取するために使用する喫煙具です。健康に悪影響を与えるといわれているタールがほとんど含まれないため、紙巻きタバコよりも身体に与える害は少ないと考えられています。

IQOS(アイコス)

アイコス

IQOSは、アメリカのフィリップ・モリス・インターナショナルが製造する、日本で一番人気のある加熱式タバコです。14種類のフレーバーがあり、タバコが持つ独特の味わいを楽しめることから、紙巻きタバコから移行してくる人もとても多いようです。日本で販売されている加熱式タバコの中ではもっとも高いのですが、本体をガジェットのようにカスタマイズできるアクセサリーなどもそろっており、多くの人々に利用されています。

Ploom TECH(プルームテック)

プルームテック

Ploom TECHは、日本のJTが製造する加熱式タバコです。IQOSと比較すると、こちらはガジェットというより、コンパクトでおしゃれなタバコという感じでしょうか。MEVIUSなど、10種類のフレーバーが用意されており、本体もIQOSの半値以下という安さです。

タバコ独特の味わいはしっかりと残しながら、特有の臭みはありません。ボタンを操作する必要がなく、紙巻きタバコのように吸うだけでフレーバーのついた蒸気を喫煙することが可能です。

glo(グロー)

グロー

gloは、イギリスのブリティッシュ・アメリカン・タバコが製造する加熱式タバコです。KENTやネオなど、21種類のフレーバーに対応しています。紙巻きタバコのようなタバコ本来の味わいが楽しめますが、いやなニオイはしっかりと抑えられており、軽めでスムーズに喫煙できるよう作られています。すっきりとまとまったデザインも、このgloの魅力のひとつです。

PULZE(パルズ)

パルズ

PULZEは、イギリスに本拠地を置くインペリアル・タバコが製造する加熱式タバコです。日本で販売を開始したのは最近のことで、まだ全国的には販売されていません。なんといっても、3,000円を切る価格の安さが魅力です。フレーバーのバリエーションが2種類と少ないことはデメリットですが、現在は福岡とインターネットのみの販売であることを考えると仕方がないところなのかもしれません。

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加熱式タバコのシェア

加熱式たばこのシェア

すでにご紹介しているとおり、日本の加熱タバコ市場において大きなシェアを占めているのはIQOSです。2016年のある調査では、IQOSが約8割、大きく水をあけられてJTのPloom TECHが1割強、残りがgloです。この数字からIQOSの圧倒的な強さがわかりますが、やはりこれはご紹介したようなテレビなどのメディア戦略とブランディング戦略が大成功したことの表れだと考えられます。

激化するシェア争い

現在のところ、IQOSの1強状態の加熱式タバコ市場ですが、実はシェア争いは激化の一途をたどっています。加熱式タバコは、タバコの市場全体では、すでに2割以上を占めるまでに成長しており、今後の「禁煙」や「減煙」を志向する人々の増加を考えると、まだまだ成長すると考えられます。

2020年夏の東京オリンピックは、新型コロナウイルスの影響で延期になりましたが、これを見据えた禁煙・減煙に関する法律や条令が施行され、タバコ業界を取り巻く状況は厳しさを増しています。ただ、その中で加熱式タバコに関する規制は比較的緩く、「指定たばこ専用喫煙室」という加熱式タバコ専用の飲食が可能な喫煙室の存在は、加熱式タバコにとっては、「追い風」といえるほどではなくても、「歓迎すべきこと」のように見えます。少なくとも「喫煙専用室」では紙巻きタバコを吸いながらの飲食は不可能ですので、この点についてはよかったといえるでしょう。

実際、健康増進法や東京都の受動喫煙防止条例の施行は、業界にとって大きな心配事であったことは確かです。これらの施行による喫煙者の加熱式タバコへの乗り換えは、今後も加速していくものと考えられます。

ご紹介したPULZEのインペリアル・タバコも、この市場に参戦してきたことから、今後も本体の値下げ競争や、旧モデルの値下げなどで新しいユーザーを取り込む動きが活発化するものと予想されます。ただ、加熱式タバコもタバコであり、少量のタールが含まれていることもわかっています。紙巻きタバコよりも有害物質は少ないとはいえ、受動喫煙の危険性もゼロではありません。

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改正健康増進法と受動喫煙防止条例について

改正健康増進法と受動喫煙防止条例について

改正健康増進法は、2018年7月に成立した同法を改正したもので、2020年4月1日から完全な形での施行が始まりました。改正された法律は、主にタバコを吸わない人が、望まないタバコの煙を吸い込むこと(受動喫煙)を防ぐことを目的としています。基本的に屋内での喫煙は禁止され、飲食店などでは喫煙室の設置や、喫煙室への標識を掲示することなどが義務づけられました。受動喫煙防止条例は、各自治体が制定するものですが、東京都の場合は、東京オリンピックを開催することから、世界基準のものとなっています。(とはいえ、罰則を除けば改正健康増進法と内容はそれほど変わりません)

これらの法律や条令で「タバコ」に当たるのは「紙巻きタバコ」と「加熱式タバコ」の2種類です。飲食店では、規模により喫煙室を設置可能な場合があります。紙巻きタバコの場合は「喫煙専用室」で、こちらは加熱式タバコを吸うことも可能ですが、飲食はできません。「加熱式タバコ専用喫煙室」は、加熱式タバコのみの喫煙が可能で、さらに同じスペースで飲食も可能です。

JTの戦略

JTはこれまで、自国の市場でIQOSの後塵を拝していたわけですが、このままだまっているわけにはいかないところでしょう。元々、Ploom TECHの「プルーム・エス」は、約8,000円で販売されていましたが、現在は半額以下へと大幅に値下げされています。紙巻きタバコのシェアはトップを走っているとはいえ、今後はこの市場自体が縮小していくことを考えると、JTが加熱式タバコに力を入れることは必然だといえるでしょう。ただ、JTが加熱式タバコの市場でシェアを拡大するためには、「吸いごたえがない」といわれるPloom TECHの改良も必要になるでしょう。

シェア争いの今後

このように、加熱式タバコの市場は、アメリカ、日本、そしてイギリスのタバコメーカーによるシェア争いが激しくなっていくものと予想されます。JTはスタート時点ですでに出遅れていたため、苦戦する形になりましたが、今後の紙巻きタバコからの乗り換え需要を考えると、この市場はまだまだ拡大の余地があります。

加熱式タバコ市場・今後の鍵

その市場拡大の鍵を握るのは、紙巻きタバコからの乗り換え需要だけではありません。日本は少子高齢化社会が進行しており、実は50代が喫煙者の4割以上を占めています。健康志向の世の中ではありますが、この年代はなかなか新しい「ガジェット」のような加熱式タバコに移行してくれないのです。

「頑固」といっては失礼ですが、彼らのような紙巻きタバコの大ファンには、ガジェット的な魅力はアピールにはならないのです。「使い勝手」や「クリーニングの必要性」など、紙巻きタバコにはない「面倒くささ」が影響しているのかもしれません。

おそらく、50代の愛煙家へのアピールに成功したメーカーが、将来の加熱式タバコ市場を牽引していくのではないかと考えられます。そういう意味では操作性もデザインもシンプルなPloom TECHのJTには大きなチャンスがあるのかもしれません。

加熱式タバコは「ケータイ」にはならない?

加熱式タバコはケータイにはならない?

加熱式タバコの市場は、このように現在、盛り上がりをみせています。3つの既存メーカーと、新たに市場に乗り込んできたPULZEにより、今後もシェア争いが繰り広げられることでしょう。ただ、今のところ加熱式タバコが盛り上がっているのは日本だけです。かつて日本には「ガラケー」や「ケータイ」と呼ばれた「携帯電話」が存在しました。もちろん、あのスタイルの電話は便利であり、だからこそ使われ続けてきたわけですが、その日本独自の携帯文化が、世界標準であるスマートフォンへの移行を妨げたのはご存じのことかと思います。そのため、もしかしたら何か加熱式タバコに、携帯電話と同じ感覚を覚える人もいるかもしれません。

加熱式タバコが携帯電話と異なるのは、海外メーカーが積極的にこの市場に参加していることです。この違いは非常に大きいと思います。日本のメーカーもスマートフォンを製造していましたが、ほとんどは撤退してしまいました、これは「ガラケー文化」だけが影響したわけではありませんが、その原因の一端に、ガラケー需要があったことは否定できません。

しかし、スマートフォンとガラケーの関係とは異なり、加熱式タバコの場合は、これから海外へと広がる可能性を秘めたビジネスです。海外メーカーが日本の市場に参戦するのも、海外市場を見据えているからにほかなりません。アメリカやヨーロッパでは、まだまだ規模の小さい加熱式タバコの市場の成功は、実は日本の市場で各社が得ることになる経験やノウハウにかかっているのです。

電子タバコという回答

電子タバコという回答

ここまで、加熱式タバコが日本で人気になった理由や、加熱式タバコの市場の将来についてお話ししてきました。日本では、延期になったものの東京オリンピックが開かれることから喫煙に関する法整備が進み、特に紙巻きタバコを吸う人たちは肩身が狭くなる一方です。今後も多くの人たちが紙巻きタバコから加熱式タバコへの乗り換えや禁煙を検討するものと考えられますが、もうひとつの選択肢として検討すべきなのが「電子タバコ」です。

電子タバコは、主にフレーバーのついたリキッドを熱して、その蒸気を吸って楽しむものです。紙巻きタバコや加熱式タバコのように、本当のタバコの成分を熱しているわけではないので、健康に悪影響を与えるタールなどの物質はまったく出ません。そもそもタバコではないので、健康に不安がないのです。

ただ、これまで喫煙してきた人たちの中には、「そんな味つけ蒸気を吸ってもリラックスできない」という方もいらっしゃるかもしれませんが、それは誤解です。

電子タバコには、加熱式よりも数多くのフレーバーのチョイスがあります。メンソールやフルーツなどもありますが、タバコのフレーバーもあります。しかも、禁煙を望む人には、ニコチン欠乏時に有効なニコチンソルトを使用したリキッドもあります。こちらは残念ながら日本国内では販売されていませんが、海外から個人輸入することで手に入れることができます。電子タバコは本体も安く、さまざまなフレーバーを選べるので、禁煙や減煙を考えるのであれば、最高のチョイスです。

まとめ

加熱式タバコが日本で人気になっている理由について、ほかの話しと絡めてご説明してきました。加熱式タバコや電子タバコはまだまだ新しい市場ですが、健康志向という世界の流れを考えると、どちらも大きなチャンスがある市場です。

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